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タンザニアからの手紙 No.36金山 麻美(かなやまあさみ) ![]() 約50軒の大小の問屋が並ぶこの通りは、表に飾られたカンガやキテンゲを見て歩くだけでも楽しい。店先に掛けられた看板カンガの移り変わりも早く、1週間後に行くともう、新しいカンガと取り替えられていたりする。店の中を覗くと、太めのタンザニアママが采配を振るっているところもあれば、スカーフと体をすっぽり覆ったガウンを身に着けた彫りの深いアラブ系女性が会計カウンターに座っている店もあり、インド系と思われる髭をはやしたおしゃべりなおじさんが主の場合もある。 「あのカンガを見せて」などというと、「ほいきた」と棚から取り出してくれるのは、タンザニア男性の従業員たちだ。比較的大きな店では女性の従業員は少ない。仕入れのときなど50組くらいが束になったカンガを運ぶので、力仕事が結構あるからだろうか。きびきびと働く兄ちゃんたちが多いので、見ていて気持ちがいい。 表通りから少し奥に行くと、小さな間口で、女性だけでやっている店もある。 ![]() 前にも触れたけれど、カンガは同じデザインのものが二つつながった1ペア単位で売られている。スワヒリ語でドッティ(doti)と言う。それが10ペアセットになった単位はジョラ(jora)である。大概の店はドッティ売りしてくれるが、ジョラでしか売らない店もある。また、同じカンガでも店によってTsh100くらい違うことがある。お客としては安いほうの店で買うよなあと思うけれど、高い店に行って、「負けてよ」と言っても強気で負けてくれないので、それでも商売が成り立っているのだろう。不思議。 この前、久しぶりにカンガストリートに行ってみたら、ドッティで買おうとすると、「5組以上じゃないと1組Tsh4,000だよ。5組以上ならメーカーによって違うけど、1組Tsh3,500から3,800で買えるよ」と言われてしまった。以前はドッティでもジョラでも同じ値段だったのに。 ![]() 「どうしたの?」と彼に聞いたら「前の店の大家が、急に店賃を大幅に値上げしてきたので、払いきれなくなったのさ」と言っていた。なかなか厳しい世界なんだね。彼の店は今ではカンガだけでなく、シーツの販売までやっている。ほかにも店の奥まで入れてくれて、丁寧にいろいろなデザインのカンガを広げて見せてくれていた店もあったけれど、いつのまにか閉めてしまい、そのあと、彼らの姿を見かけていない。 かと思うと、兄弟で別々の店を構えていたり、同じ主人が結構大きな店を二つ持っていたりすることもあるから、やり手もいるのだろう。太めのインド系のおじさんの店だった一等地には、今はタンザニアママたちが采配をふるっている店が入り、いつ行っても客がいっぱいいる。 (2009年7月1日) |