Habari kutoka Kingolwira*Habari kutoka Lukani*歴代スタッフのHabariの本棚
タンザニアからの手紙 No.41金山 麻美(かなやまあさみ) タンザニア人はバンプが好きだ、とわたしは思う。スワヒリ語でtuta(複数はmatuta)というこれは、道路の上に置かれたかまぼこのようなアレである。 極細のかまぼこが何本も連なっているようなバンプもある。その上を車で走るとガッガッガッっと何度も小刻みに揺れるので、繊細なひとには辛いものがあるだろう。 ![]() 知る限り、バンプは後付けである。すてきな舗装道路ができる→車はびゅんびゅん飛ばすようになる→交通事故が増える→バンプができる、という順番で、最初から計画的に作られたものは、わたしは知らない。 我が家の近くの十字路も近年舗装されたのだけど、交差する道路のどちらも道幅が同じくらいなので、どちらも自分が走っているのが優先道路だと思い込み、結果、事故多発。一応、片方の道路には交差点の手前にstopの標識があるのだけどね。でも、もう一方の道路にも交差点のそばに横断歩道が書いてあったりするしね、わかりにくい。 なので、3ヶ月前くらいに写真のようなバンプが作られたのだった。 ![]() 「わが国で交通事故で亡くなる人はマラリアとエイズの次に多い」 原因はいろいろあるだろう。車の急激な増加とそれに伴わない道路事情。車検がないので、整備不良の車も走っている。道路法規を守らないなどなど。 でも上記の記事では一番の原因はスピードの出しすぎや不注意運転だという。 ![]() タンザニア人のドライバーさんたちにきいてみた。 Mさんは「とても役に立っている」と言う。「バンプの手前で車はスピードを落とすから、事故は減る」 Nさんは「確かに交通事故削減にはつながると思うけれど、長距離を走らなければならない時には、バンプがたくさんあることによって目的地までの時間が長くかかってしまう」と言う。 Bさんは「Nさんと同意見だけど、標識がなかったりして、バンプがあるということに気づかない時、スピードを緩めずに走ってしまったりすると危ないことがある。バンプが交通事故につながることもある」と言う。「それに何よりもまず、交通ルールの教育をすることだ。子どもたちに左右を確かめてから道路を渡るなどという基本的なことをしっかり教えれば、交通事故は減るだろう」 なるほど。 車は凶器でもあるから、まず運転するものが交通ルールを守り、注意深く運転するのはもちろんなんだけど(対向車線を平気で逆走してくるのとかいるからなあ…そういうのこそ、取り締まって欲しいよ)、歩行者たちももっと自分たちの身を守るために学ばなければならないのだろう。そういうキャンペーンもときどきやってはいるようだけど。ときどきでは足りないのだ。 お役所がバンプを作るだけでなく、自力で作成する人たちもいる。ガタガタの未舗装道路にたまにグレーダーがかかり、ずずーんとまっすぐな道に一時的に生まれ変わることがある。すると、車はスピードを出すんですな。そして、すぐに道端のキオスクのおじさんとかが、自分の店の前に固い土をこんもりと盛り上げてバンプを作成するのである。すばらしい自助努力。店の前でスピード緩めにゃあかんからお客も増えるかもしれないしね。 しばらくはいいよ、だけど、また雨が降って地が固まるどころか、道がぐちゃぐちゃになるんだよ。なんてったって未舗装なんだから。すると、道はでこぼこなれど、バンプだけはしっかりと存在感を失わないという事態になり、なんともはや、運転者にとってはふんだりけったり気分の道路になるのである。 さて、結論は?バンプに頼ってるだけでは、いけないということですかね。 ☆このお話はわたしのブログ「タンザニア徒然草」にアップしたものを再構成したものです☆ (2010年10月1日) |