6月16日から3日間弊社スタッフのグビの故郷であるキンゴルウィラ村を訪ねた。ダルエスサラームからバスで約3時間、モロゴロの町から30分程のところにある。
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バスを降り、赤土の細道を歩いていくと、レンガ造りの家が現れる。建設途中なのか、レンガが積みあがった状態で未完成の家、建設用に使われる大量のレンガの山がちらほらと見られた。日中は日差しが強いが、レンガ造りの家の中は、ひんやりとしていてとても気持ちが良い。
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村の奥へ進んでいくと、広大なとうもろこしの畑が広がる。キンゴルウィラ村では、村の人々は主にとうもろこしの栽培をしている。また、この他にトウモロコシ、オクラ、トマト、サトウキビなども栽培している。毎日自転車で30分ほどかけて、家から畑まで通っている。それぞれの家の軒先では、収穫したトウモロコシの皮がはがされ、麻のシートの上にゴロゴロと広げ乾かされる姿を見かける。これらは、後にウガリの粉などを作る為に粉末状にされる。
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こうした環境での村の生活は、早朝は外で子どもたちがわいわいがやがやとしている声での目覚めとともに始まる。学校が休みの時は、子どもどうしが遊んでいる中に自分も混ざり、地面に絵を書いたり、ボールを蹴ったりして遊ぶ。滞在中、私は皆と折り紙をして遊んだ。私が折り始めると皆が一斉に見よう見真似で折り始める。あるいは、一人が「カエルを作って」と言い出すと皆も「カエル!」と言い出し、一人が「ヒコウキ」と言い出すと皆も「ヒコウキ!」と言い出す。結局何を作ってあげても喜んでくれる。朝から晩まで走り回り、元気にはしゃぐ子どもたちのバイタリティには本当に驚かされる。
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それでも、食事の時間になると、子どもたちはパタッと遊ぶのをやめ、準備をする母親を手伝う。小学校へあがって間もない年齢の女の子が野菜を切ったり、火にかけた鍋の番をしたりする。一方、男の子は村の共同の水道まで行き、家から持参した大きなバケツいっぱいに水を汲む。手で持ち運ぶことは難しくても、頭にのせればとても小さな子どもでも運ぶことができる。
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日が昇り、しだいに明るくなる頃に一日がスタートし、日が沈み、あたりが暗くなったら一日をおえる。ダルエスサラームの都会の喧騒とは違い、時間がゆっくりと流れる。時計を見ること、現在の時間を尋ねあうことはほとんどしない。行きかう人々皆が互いに挨拶を交わし、皆顔見知りである。そんなこの村には、平和で穏やかな空気が流れている。
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村から戻った今、日本ではあまり感じることのなくなったこの村の「豊かさ」に気づく。日本では、近所にどんな人が住んでいるのか把握していないことが多く、挨拶を交わすことも少なくなっている。そして、それに伴って、「安心」といえる環境が失われている。また、「モノ」があふれ、生活が便利になることによって、子どもどうしが独自に遊びを開発したり、親のお手伝いをしたりという機会が見られなくなりつつある。人間どうしの関わりが希薄になりつつある日本と比較して、村には、目には見えない「豊かさ」が存在する。そんなこの村の暮らしをとてもうらやましく感じる。
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(2006年7月)
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