ダルエスサラーム便り


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Tupo No.1

幾山未有


 

幾山 未有(いくやま みゆう)




初めてのキンゴルウィラ




タンザニアの最大都市ダルエスサラームから幹線道路を170kmほど行ったところに、キンゴルウィラがあります。協力隊時代に村生活をしていた私にとっては、農作物も豊富に売られていて村というより町に近いような印象でした。今回お世話になった家(グビさん一家)の奥さんに聞いてみると、昔は村だったそうですが現在はモロゴロ市内として位置づけられているようです。
今回の訪問目的は、JATAツアーズが長年続けている「農村滞在」です。グビさん一家(※)にお世話になりながら、同じものを食べ、同じ事をし、一緒に時を過ごしてみる、といったものです。そこで私が体験したことを紹介と思います。
(※2013年に他界したサルム・グビさんの弟のハミシ・グビさんの一家)

■畑
ハミシ・グビさんは、12ヘクタールもの広大なる畑を持っており、トウモロコシ、トマト、きゅうり、ヒマワリなど多くの農作物を作っています。それだけ広いと土地にも関わらず、農作業は数名を雇っての手作業で行います。現在は乾季で水やりをしないといけないので大変ですが、川からモーターで水をくみ上げることができるようになったので、少しは楽になったそうです。それでもやはり朝から晩まで農作業をするため、お昼はマンゴーの木の下で火を起こして自分たちで作って食べます。
(写真は水撒きをするグビさんと畑。後ろには壮麗なウルグル山の姿が見えます。 もう一つの写真はモーターで水を汲み上げているところ)



■子どもたちと遊ぶ
夕方、家に戻るとそこにはたくさんの子どもたちがいました。
ボールを使って遊んだり、「バオ(スワヒリ語で板)」と呼ばれるゲームをしたりしていました。このゲームがなかなか奥の深いもので、かなり時間がかかるし頭を使います。それでも子どもたちは手早くゲームを進めていきます。比較的算数が苦手なタンザニアの子どもたちですが、本当はすごく得意なのではないかと思うほどでした。(写真はボールやバオで遊ぶ子どもたち)



■朝から昼の時間
夜が明けて月曜の朝、寝ぼけ眼で外に出ると、子ども達や仕事に出る大人たちを送り出した奥さんたちが、ゆっくりとした時間を過ごしていました。新聞を読んだり、少し座って話したり。子どもたちがやっていたゲーム「バオ」の対戦も大人の勝負が見られます。超高速です。(写真は、外で新聞を読む女性と朝の鶏たち)

  


■水
日本ではどこにいてもきれいな水が出ることは当たり前ですが、タンザニアではそう多くありません。しかし、ここキンゴルウィラでは、水がきれいでしかも途切れることがほとんどないそうです。少し味見してみましたが、多少土臭さはあるものの、おいしい水でした。ウルグル山から引いてきているそうで、この豊富できれいな水のおかげで、畑がうるおい、モロゴロでは農作物がよく育つのだそうです。
(写真は一家で使う唯一の蛇口。ここから惜しげもなく水が出てくる。)



■ルグルの言葉
キンゴルウィラには、ルグルという民族が住んでいて、今でもその言葉を使っています。
(残念ながら、最近の若者はスワヒリ語しか分からない人も多いようですが・・・)
そこで、少しルグルの言葉を紹介したいと思います。この言葉で挨拶をすると、ルグルの人たちはとても喜んでくれました。
・Auwasile?(目覚めはどう?) Hanoga.(穏やかだよ)
・Iwana alamka?(子どもたちは?) Wobenza/Walamka(元気だよ).
・Ausindile?(今日はどう?[お昼の挨拶]) Hanoga.(穏やかだよ)

■学校訪問
近所の小学校には、なんと約1400人もの生徒が通っています。私たちは、生徒たちと直接話す機会をもらい、3年生の教室に入らせてもらいました。一つの教室に約190名の生徒たちがひしめき合っています。
いくつかの質問をしましたが、印象的だったのは、「将来の夢」についてでした。多かったのは、医者、看護師、弁護士、大統領、兵士、先生、など。日本人などの珍解答もありました。なかでも、「兵士」と答えた生徒の理由としては、「制服がカッコいいから」という可愛らしいものから、「国を守りたいから」という頼もしい回答もあり、これからのタンザニアを背負っていく子どもたちに期待を膨らませました。
また、訪問したのは、日本大使館の支援による校舎やトイレがちょうど建設中のときで、「これがどこの支援で建設されているんだっけ?」という先生の問いに、生徒たちは大声で「ジャパニ(日本)!!」と答えていました。普段からよく教えられているようでした。こうして日本に対して好印象を持ち、日本人になりたい、という生徒も出てきたのでしょうか。(笑)
その建設中の建物も、これまでの建設物と異なり、質・スピードともに非常に改善されたものとなっているとのことです。マグフリ政権に代わり、建設基準に基づいた建設がすすめられ、これまでの質の悪い業者から基準を満たすことのできる業者に一掃され、耐久性のある校舎ができあがることが期待されています。何年後かにまた訪れてみたいです。
(写真はギュウギュウ詰めに座る3年生の生徒たちと建設中の校舎・トイレ)





その他にも、バイクの後ろに乗ってツーリングしたり、一緒にご飯を作ったりして、お互いの国の事を話しながら時間を過ごしました。文化の違いがありながらも、私たち外国人を優しく受け入れてくれたキンゴルウィラのみなさんや、またそこにある自然にも安らぎと偉大さを感じました。物や情報があふれる日本と比べて、シンプルな生き方をしている彼らを見ると、原点に戻ったような気がします。またぜひ行きたい場所の一つになりました。次に訪問したときは、キンゴルウィラの人たちとウルグル山登山をしたいと思います。(日帰りで行けるそうです。)



 
(2016年8月1日)




*Tupo とは、スワヒリ語で私たちは(一緒に)いる、という意味です。
タンザニアという国とその人々に寄り添って、タンザニアの今をお伝えしていきたいと思っています。


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