何度も行きたいタンザニアのナショナルパークはどこか?ときかれたら、迷わずに「ルアハ!」と答える。「ルアハ・リバーロッジに泊まる」という条件つきで。 ダルエスサラームから西に620km、車で約10時間。イリンガの町を抜けていく。ルアハ国立公園は、セレンゲティ国立公園に次いで2番目の面積を誇る南部を代表するナショナルパークである。 Great Ruaha River、大ルアハ川と呼ばれている川を横切るとルアハ国立公園が始まるのだ。 大きな石ころがごろごろと転がるルアハ川の川べりに何軒かのコテージが目立たぬように建てられている。それがルアハ・リバーロッジだ。 カバやワニたちの住処であるこの川は雨季と乾季では水量にかなり差があるのだが、今回は水がかなり少なくてちょっと心配なくらいであった。 ルアハ・リバーロッジには、わたしは今までに数えてみても片手では足りないほどの回数、足を運んでいる。お気に入りの場所である。 どこがそんなに良いのだろうか。 まず、ルアハに観光に来るひとたちが少ない、ということがあるだろう。ンゴロンゴロのようにライオンの群れに10台ものサファリカーが集まるということはまずない。動物を観るゲームドライブに出かけても、途中で他の車と行きかうことは、あまりない。ルアハをひとりじめできる気分になるのだ。だからこの記事もHPに載せないほうがいいのかな? 次にルアハ・リバーロッジの簡素さ、親しみやすさ。ここはルアハで一番古くからある宿泊施設だ。当地をよく知るタンザニア生まれのイギリス人一家Fox家がオーナーである。地元の木と草と石でできたコテージ。簡素だが、居心地が良かった。オーナー一家がロッジ内に住んでいたころは、その小さな二人の子どもたちが、はだしで食堂近辺などを走り回っているのをよく見かけた。我が家の子どもたちも小さかったので、一緒に遊んだりしたものであった。 食事も、朝は定番の手作りシナモンロールがほっとするうまさであり、昼と夜はブッフェ形式で、豪華ではないのだが、キッチュ、サラダなど野菜たっぷりのメニューで、一つ一つがしみじみと美味しい。デザートは毎回、イチジクのパイなど、オーナー夫人がいろいろと創意工夫をこらしたものが出てきて、見た目はイマイチなことが多いけれど、ゆっくりと味わいたいと思えるものであった。だから、ここに来るとついついおかわりをしてしまい、お腹が出てくるのが実感できるので困りものなのである。 また、コテージの前に座って、川に水を飲みに来るキリンやゾウ、シマウマ、クドゥーなどの群れをのんびりと眺めていることもできる。車で探しに行かなくとも動物たちが向こうからやってきてくれるのだ。 以前、ライオンに襲われかけたバッファローがロッジ内に逃げ込んできて、お昼にひとつのコテージ前で寝転んでいたことがあった。また、夜、食堂に行こうとコテージを出ようとしたら、ゾウの群れが近くにいたので、あわててコテージの中に戻ったこともあった。そういうスリリングな経験もルアハ・リバーロッジで出会ったものだ。 今回もゾウが近辺に多く出没するという日の夕食時には、マサイの従業員が食堂までエスコートしてくれた。 今回はなんと7年ぶりのルアハ行きであった。昨年、ロッジなどが改築され、立派になってしまった、という話をきいていたので、ちょっと不安だった。 基本が、木と草と石でできた目立たないコテージというのは、変わりがなかったが、サイズが大きくなり、ソファやベッドなどの家具が立派になっていた。バーにも革張りのソファが置かれ、ちょっと違和感があったのは否めない。今回同行した以前のリバーロッジを知るひとも「前のほうが好きだったな」と言っていた。あの、自然に溶け込めそうなひっそり感は薄れてしまった感じがする。 オーナー一家も子供たちが大きくなったため、今はダルエスサラームに住んでいる。ロッジにはデンマーク人の女性マネージャーがいた。 でも、食事は以前と変わらぬおいしさで、デザートも遜色なく、大安心であった。求めると、タンザニア人のコックさんが自慢の料理の説明をしてくれる。 コテージが立派になり、川が臨めるベランダまででき、以前のようにすぐ川には出られなくなった。けれど、ベランダのすぐ目の前の岩には、ハイラックスが住んでいて、時折、かわいらしい顔をのぞかせてくれたり、朝焼けに映えるルアハ川や、子どもを連れた10頭以上のゾウの群れが水を飲みに来る姿など、のんびりと楽しむことができた。朝方には、鳥たちの鳴き声のオーケストラに耳を傾けた。出かけなくても楽しめる滞在型のサファリは、変わらず健在であった。 今度は1週間くらい贅沢に時間を取って来られないものかと思っているんだけど。 料金:$160 (3食付のひとり分1泊のお値段) Resident料金あり ※ 入園料$20(1人24時間)が別途必要となります |
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