ダルエスサラームの街中

タンザニア
旅行トピック
(2016年)

ヘンドリック・リランガのゴートスキン

4.タンザニア航空(ATC)運航再開

 国営のタンザニア航空(ATC)は6月から運航を休止していましたが、10月14日から再開しました。
 9月に新たに4,700万ドルで購入したボンバルディアQ400(76人乗り)が新鋭機2機がカナダから飛来し、アルーシャ線、ムワンザ線に就航したものです。今後、キゴマ線、ムトワラ線、コモロ線などに順次就航の予定だそうです。その後、ボーイングのジェット機の購入計画もあり、大陸外の国際線も机上に載っているようです。

 1977年に第一次東アフリカ共同体(EAC)の解体に伴い、東アフリカ航空のほとんどの機体・資産がケニア航空に引き継がれ、タンザニア航空は細々と開業しました。1980年代は国営企業らしい非能率な経営で有名でした。1990年代の民営化の導入に伴い、ナイロビ線以外にもヨハネスブルグ線、ロンドン線と路線を拡大していったものの赤字を累積し、2002年南ア航空の出資を受け、そのグループに入りました。しかし業績は向上せず、2006年南ア航空の株を買い戻し、再度国営化されました。

 その後も、順調に(?)赤字を累積し、民間航空会社のプレシ―ジョン航空(PW)やLCCで売り出したファーストジェット航空(FN)との競争に負け、また一方で幹部による汚職・腐敗も暴露され、6月に運休に追い込まれました。今回、再挑戦となるわけですが、PWもFNも累積赤字が経営を圧迫し、パイロットの解雇や機体の小型化を検討しているなか、新鋭機の導入が国家・国民の負担にならないか危惧されています。

日本の2.5倍もある国土をもつタンザニアです。東端のダルエスサラームからムワンザ、キゴマ、ムベヤといった遠隔地への移動には安定した航空路線が必須です。いや、ドドマへの首都移転が完了したとしても同じです。安定したATCの成長を期待しましょう。


                                                       
ATC©「The Citizen」2016年9月29日号

 

                                                       (2016年10月)

3.観光業にVAT課税始まる

 7月1日から、従来非課税が多かった観光業へのVAT(付加価値税=18%)課税が実施されました。ホテル・ロッジの宿泊費にはすでに課税されていましたが、今回は、ゲームドライブ、入園料、ガイドなどのサービス、観光用のチャーター機にも課税されることになりました。
 セレンゲティ国立公園の入園料が大人$60だったものが$70.80になりました。ンゴロンゴロ保護区は昨年4月に見送った値上げを実施したうえにVAT加算ですから、大人の入園料$50が$70.80に、クレーター・サービス料は車1台に対して$200だったものが$295となりました。家族4名で3泊4日のセレンゲティ、ンゴロンゴロのサファリをする場合、$400~500アップになることになります。またキリマンジャロ登山の場合入園料だけで5日間で$63アップですし、ガイドその他のサービスにも課税されますので、登山コース・日数にもよりますが、1人あたり$200~300アップになるでしょう。

 フランスなどの海外の旅行業者からは抗議の声明が出ています。いはく、「ケニアや南アなどの同じような内容の目的地に比べ、タンザニアはすでに7%ほども割高になっている。目的地の変更を顧客に勧めざるを得ない」と。ケニアも2年前に観光業にVAT導入しましたが、観光客数の減少(これにはテロ事件など治安面の不安もあるでしょうが)から、この7月からVAT撤廃、値下げをしたのに対し、好対照になっています。

 財政再建のため、タンザニア外貨獲得の柱である観光業と金採掘に課税するのがやむを得ない国家の主権としても、6月9日の政府予算案発表後、野党が多く国会をボイコットして論戦も行われないまま、TATO(タンザニア旅行業協会)の反対を押し切って、7月1日実施とは拙速に過ぎると思われます。日本からタンザニアの野生動物サファリに来る場合、国際航空券を含め大変な費用が掛かります。1年~半年前から計画を立て、予算を出して、受け入れ業者と合意してやってきたのに、いきなり値上げとは「騙された」と感じる人があっても不思議ありません。やはりこういう値上げは十分な(半年程度の)予告・周知期間があってよかったのではないかと思われます。

今回の措置で、日本からの観光客の足が遠のかないことを切に祈ります。


                                                       (2016年7月)

2.ダルエスサラーム高速バス、運行開始

 5月10日、DART(ダルエスサラーム高速交通)が運行を開始しました。やっとこさという感じで、1年遅れの開始です。
 2025年にはダルエスサラーム市の人口が1,150万人に達するだろうという2003年の予測に基づいた都市計画で、世銀の資金で2012年に工事が開始されました。当初予定では、2015年4月完工予定でしたが、工事の遅れもともかく、運行主体で大揉めに揉めて、開始がずるずる遅れました。
 UDA(ダルエスサラーム交通)とダラダラ・オーナー協会が出資したUda-RTという会社が140台のバスで、3年間の試行期間の運行権を勝ち取りました。
 しかし、運賃設定でまた大揉め。現在のダラダラは区間によって、400~600~750シリング、学生は一律200シリングの運賃ですが、この高速バス、区間によって700~1,200~1,400シリング、学生はその半額と、ほぼ倍額の運賃を提起して、政府がそれにストップをかけました。
 結局、運行開始2日前に、400~650~800シリング、学生は一律200シリングに落ち着きました。5月10日から2日間無料試運転がダルエスサラーム州知事の鶴の一声で6日間に延び、5月16日(月)から運賃徴収が始まりましたが、まだ電子カードが発行されず、乗客一人一人が長蛇の列で窓口で切符を購入している状況で、またおつりがなくて揉めるなど、落ち着いていません。

 (追加情報)6月20日からスマートカードが導入され、便利になりました。1枚5,000シリング~30,000シリングで、購入から1年間有効だそうです。


 

                                                       (2016年5月)

1.キガンボーニの橋、開通

  ダルエスサラーム市街から対岸に見える、正確には港のある入り江を挟んだキガンボーニ地区は、近年市街開発が盛んに進んでいます。従来は不安定なフェリーか大回りをした陸路で行くしかなかったのですが、市街から渡る橋が完成しました。
 全長680m、幅3.2m×6車線+歩道、アクセス道路まで含めると2.5㎞の工事は、2010年に始まり、タンザニア政府とNSSFの資金で、工事は中国企業が請け負ってやってきましたが、このたび竣工し、4月19日にマグフリ大統領により開通式が行われました。
 その名称を「マグフリ橋」にしようとごますりを狙った人もいたという噂ですが、初代大統領にちなんで「ニエレレ橋」と名付けられました。現役時代に自分の名称を付けた人もいますが、故ニエレレのように、現大統領もこのまま行ってほしいと思います。
 気になる通行料ですが、徒歩は無料で、それ以外の自転車、バイク、バジャジ、セダン、大型車などは有料になるだろうということですが、5月1日発表ということです。開通してもまだ通行料が決まっていないというのがなんともタンザニアらしいですが、開通記念サービスでしょうか。

 (追加情報)自転車は300シリング、バイクは600シリング、バジャジ・小型乗用車は1,500シリング、普通車は2,000シリングということで、ダラダラはサイズによって2,000~6,500シリングも取られるので、通行を避けているようです。


 

                                                       (2016年4月)
 

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